2007
お仕置き・42
第二部・琴音・8を先に読む
★琴音・9★
「お義母さま・・・。私。」
智也の母であり、琴音の叔母でもある明子は、いたずらっ子のような瞳をきらきらと輝かせているくせに、非常に不機嫌そうな口調で先を続ける。
「あなたも、どんなに失礼な事をしたかは、分ってるでしょう?それに、河野の家の習慣もね。」
そして、手の中にあるしゃもじのような形をしたものを琴音の前に突き出して見せた。
「琴音さん。これは、あなたにそれを教えるためにあるのよ。お仕置きには、お尻を叩くのが一番だけど、お尻って、結構丈夫なのよ。だから、あなたが自分のした事を忘れないようになるまで叩くと、わたくしの手が痛くなってしまうわ。だから、これを使うのよ。これは、パドルと言ってそのための道具なの。分って?」
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明子の手の中で、パドルは飴色に艶々と輝いていた。中央に型押しでバラの模様が描かれていて花びらは淡いピンクに、葉はくすんだ緑に染め抜かれていた。使い込まれてしっとりと濡れたように光るその道具は、かわいらしい様子でありながら、琴音を震え上がらせるのに充分な物だった。
「お、お義母さま。お願いです。許してください。」
まだ、一度だけ、智也の掌の下で、たった、一度だけ泣いた経験しかない琴音には、分っていても、どうしても素直に従えない事だった。無意識にじりじりと後ろに下がる。
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「琴音さん。あなたが、逆らうようだったら、私は使用人を呼んで、あなたを押さえつけさせないといけないわ。そんな、恥かしい事をあなたに最初から強いたくはないのよ。分るでしょ?分っていてお嫁に来たんですもんねぇ。」
にっこりと明子は笑うと、すぐ側にある、安楽椅子の中央を指し示した。」
「さあ、そこの中央に手を付いて。二度も言わせるのは、許しませんよ。」
逃げられない。逃げられないのだった。明子の言うとおり、河野の家の嫁になる事は、こういう習慣に逆らえないって事だという事は、あらかじめ聞かされてきた。何度も考えて、覚悟を決めて嫁入ってきたのだ。だが、心の中で空想し覚悟するのと、実際に叔母の前に手を付いて、お尻を差し出すのでは、雲泥の差があった。
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身体中から、力が抜けて行く。膝が震え、くたくたと、その場に座り込んでしまいそうだ。そんな自分を必死に叱咤して、琴音は、おぼつかない足取りで前に出た。深く息を吸い込んで、思い切ってソファの真ん中に手を付いた。
「膝を曲げないで、まっすぐ伸ばして。お尻を突き出すのよ。」
その言葉に、琴音は、ぎゅっとまぶたをきつく閉じた。開けていると泣いてしまいそうな気がしたのだ。がたがたと震える身体に、必死に力を込めて、琴音は脚をピンと突っ張った。お尻が高く突き出され、スカートが揺れる。その、広がった裾に叔母の手が、当然のもののように伸ばされてきたのを感じながら、琴音は心の中で夫の名を繰り返し叫んでいた。
「あ、あ・・・・。智也さん。智也さん。智也さん。」
つづく





























































































