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夏の暑い日は
虚ろ
ぽっかりと開いた穴
白く霞んだ世界
滴り落ちる汗
張りつくような苦痛
取り残されたような
・・・止まった時間
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絶望は 階段のように 少しずつ深まる
絶壁を落ちては停滞する
停滞しては また落ちる
諦めは静かに侵食し
痛みは感覚を麻痺させていく
横ばいの移動は
自分が深く沈んで行きつつある事を忘れさせる
一段
そしてもう一段
少しずつ狂って行く自分をみつめる
もう一つの目が映す世界は
白黒で色が無い
底へ辿り着くのは いつの日か
いや その時は もう
何も見えてないだろうけれど
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星が無い夜だったので
灯りを持って出かけました
ひたひたひたと
足音だけが聞こえる道のり
夜はねっとりとまるで溶けかかったゼリーのように
足元に吹き寄せる生ぬるい風に
不気味に揺れる 振動する
そこかしこに溜まっている
ゆっくりと選んで歩く
踏み石は時々悲鳴をあげる
その悲鳴は自分のもののようで
いとおしく懐かしい
今は しっかり口を閉じて
心も閉じておきます
秘密は秘密のままに
謎は謎のままに
私の痛みは私の中に
そしてあなたの痛みは 私の中に
刃物を研いでおきましょう
この道のりの向こうにみつけるかもしれない
手枷足枷につながれた人を
切り裂くための銀の刃物を
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さて、準備ができました
畳んで 結んで 動けない
待ち構えているその身体
切り刻んで差し上げましょう
何を望んでいるの
何で望んでいるの
あなたの持つ闇へ
切りつけた傷から漏れる月の光
自分を好きになってはいけない
誰も好きになってはいけない
ただ黙ってうずくまる
禁じられた言葉を
紡がないように
心の中で悲鳴をあげようと
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照明を全部落とした部屋
机の上だけついた明かりの中へ
長い手が伸ばされて
車の鍵を投げだす
曲げられた細い指
節くれだった長い指
ガチャリ・・・っと、音を立てて
少し滑った車のカギは
明かりの中で止まって動かなくなる
止まった時間
止まった想い
こごった影
こごった愛
レコードについた傷
リピートされる
繰り返し
繰り返し
繰り返し
繋がれた私は 暗がりから覗き見る
鎖の距離だけ 近づいてみても
けして届かない 触れはしない
ただ痛むだけ 胸が痛むだけ
この痛みを消して頂戴
強い嵐のような 苦痛で
繰り返し
繰り返し
繰り返し
壊れるまで
感じなくなるまで
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足の甲に ハサミが ささった
ドンって、音がして辺りが真っ白になった
繋がっていた日常が途切れる
昨日の次は今日
今日の次は明日
ずっと、続いて行くはずなのに 何も見えなくなった
周りの世界が遠ざかって行く・・・・
あなたの姿が遠ざかって行く・・・・
見えるのは鋏の鈍い光だけ
足の甲で震える銀色の光だけ
感じなかった痛みが
ゆっくりとはいのぼり私を侵食する
お腹を 胸を 首を 頭を・・・・
何も考えられない
すべてがからっぽ
あなたを好きだった事も
手で握れるほどに確かだった愛なのに
今は・・・・
揺するとカラカラと外れたネジの音がする
鋏を抜いて訪ねて行こう
私の愛した人の所へ
血を混ぜ合わせて
陶酔に浸りたい
酔いしれてすべてを捨て去りたい
でも まず その前に
足の甲から「鋏」を抜かないと
ああ、この悲鳴を聞かないで
耳をふさいでて
決して 決して・・・・
私の声を聞かないで
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Hellfire Society - "Mad About You" (music video)
うさぎを追いかけて穴に落ちた
時間が巻き戻されて世界がぐんにゃりと曲がった
どうしたの どこからきたの
どこへいってたの
なんでいなくなったの
いなくなってないよ
ここにいるよ
ずっといたよ
うそうそうそつきうそばっかり
死んじゃったのに
死んじゃったのに
おいていったのに
もういないのに
ううん 生きてても同じでしょ
ほんとの事教えたとたんに
ぴょん、と跳ねて
ひゅううううっと駈けて
いなくなる
届かなくなる
見つからなくなる
喋らなくなる
視線を合わせなくなる
捕まらなくなる
おいてけぼり
おいてけぼり
おいてけぼり
もう 起こさないで
ずっと眠っていたいの
穴の中でまるくなって
小さくなって
春と夏と秋が通り過ぎて
心が凍えてしまう季節がくるまで
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まず小指
それから薬指
ぞして中指
もったいぶって人差し指
最後は念入りに親指
茂った葉が落ちた後に枝を払った木のように
まあるくなったその掌を
押さえつけて
包丁を押し付ける
ぶつっ・・・と皮膚が裂け
ぐにゅううううっと肉が軋み
ごりごりと骨が鳴る
指のように簡単には終わらない
ごりごりごりごり・・・
鉄さびの臭いの中
世界が暗転し
足元の地面がたわむ
身体が床に叩きつけられる時
暗い穴の中へ
意識は速度をあげて
収縮しながら引きずり込まれる
落とした包丁がどんっと鈍い音を立てて
足の甲に突き刺さると
悲鳴の中に
ようやく夢は終わる
しかし 手首はまだついている
だから
また 機会のある時に
切り落とさねばならない

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鍵を掛けられる小箱に詰めて
決して、決して、開けられないように
閉じ込める
闇夜の道を辿って
森に埋めに行こう
深く深く穴を掘って
埋め戻した後を落ち葉で隠す・・・
埋めた事を忘れてしまおう
持っていた事も
全部全部無かった事に
けれど
秘密は箱の中で増殖する
行き場がなくなってお互いに共食いする
己の足を食べているように
ぶつぶつと泡を吹いて
くねる・・・
森の奥で聞こえないはずの悲鳴が
胸に響く
喰い散らす
ぽっかりと空いた空洞を
あの小箱を取り出す日を
手繰り寄せるために
私の手は血だらけになる
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三日月の夜に森へ行くと
待っている女がいる
肉厚のナイフを研いで ぎらぎらと光らせながら
あなたの指を切り落とそうと
ぶつぶつぶつ・・・・って
落とされていく間 悲鳴をあげてはだめよ
じっとじっと我慢して
こらえていてね
覗き込む彼女の目が嬉しそうに笑う
それが見たかったんでしょ
彼女が好きなんでしょ
ぽろぽろと零れ落ちた指は
まるで白いイモムシのよう
鉄板の上で念入りに炒めて
猫にあげたいくらい
どうして 泣くの?
失ったものが そんなに大事だった?
お手紙を書くために
恋文を書くために
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昔々 流行っていた
地下牢に悪食な娘たちを飼う
酔狂なお金持ちが多かった
ま、それは私
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世界は私を中心に
お金はすべての代償に
人の心は気まぐれの慰みに
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ああ 宇宙はもちろん私の周りを廻っている
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踊るがいいよ
叫ぶがいい
私のために泣くがいい
絡まり 喘ぎ ひくついて
この世の喜びを食い尽くせ・・・
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私のために
私のお金のために
私の権力のために
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私の得られない
愛と、満ち足りた幸せの代償のために・・・・
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さあ、白状おし、とあなたは言った
縛られてるおまえは何をされても抵抗できない
私はおまえに酷い事をいくらでもできるんだよ
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私は戸惑う なにを白状すればいいのか
何も隠している事など無い
何も打ち明けることなど無い
私のすべてはあなたのもの
私の心もあなたのもの
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いいや そうではないだろう
自分に嘘をつくんじゃないよ
隠している事があり
偽っている事がある
信じたくないことがあり
出来ない事がある
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そんなはずはない
そんな事あるわけない
だけど信じるってどういう事なのか
見たくないものを見ない事?
知りたくない事を考えない事?
ありもしないことを思い描く事・・・
私の心は全く自由にならない
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だが、おまえ
知っているだろう
今日の本当と明日の真実は違う
今日の真心と明日の誓いは違う
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そうして 彼は笑う
だから おまえをぶってあげよう
悲鳴をあげて逃げ惑うまで
血の海に這いずり回るまで
嘘をついても つかなくとも
何も考えられなくなるまで
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ああ その通り そうかもしれぬ
考えず 思い惑わず
あなたが望む事を
あなたが望むとおりに
だって あまりにも痛いから
だって あまりに耐え難いから
私が 正しい事を選びそこなったのは
あなたが私を打ち据えたからなのだから
この痛みに この苦しみに
すべての言い訳を預けよう
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ゆっくりと沈み始める感覚を捉える
身体が取り止めもなく分解し
感覚が急激に拡散する
この状態には覚えがある
まずい・・と、焦って
何かに掴まろうとして空振りした
沈み込んでいく身体
振り返ろうとする心
捕まえようとした人影
残された言葉・・・
「誰にも話してはいけないって」
解っていた筈なのに
つい失敗した
同じ所で 躓いた
「だって、淋しかったんだもの」
しかたないでしょ、もう一度
ほら・・・
そして、階段を転げ落ちた
「コレデ何トカ正気ニ戻レ」
もの憂い・・・春に
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あの暖かい春の日に
多摩の河原に寝ころんで
あなたが 吹いて聞かせてくれた
たんぽぽの笛
そのもの憂い甘えた音よ
・・・・ああ、春は 今日一日だけで
十分すぎるほど 美しい
口に銜えた たんぽぽの軸の
ほのかな苦みをあなたは
想いととともに噛みしめる

桜の木の下で待っていると約束をした
金の瞳の獣と
私は、むっつ
白い花が一面に散った
赤い着物を着てた
鶸萌黄の帯を締めてた
桜の木は家の前に咲いている
門を出て
桜の花びらが散り敷かれた
五段の階段を降りて
たったの三歩
一尺ほどの高さの崖をぽんと飛ぶと
外灯の光の届かない
木の下闇に獣は蹲って待っていた
獣が約束どおりに
その牙を私の皮膚に立てる時
冷たい湿った布団に包丁をつき立てるように
ちょっとへこんで
逆らって
それから ようやく諦めて
ずぶずぶとそれを受け入れるのが 見えた
ぼんやりと薄墨を刷いたような
ぴんく色の光の中で
私は
獣が音を立てて
私の身体を貪り喰うのを
じっと見て いた
ぼりぼり ぴちゃぴちゃ・・・
獣の骨を咬む音と
血を啜る音を
聴 きながら
待つ
囚われたの螺旋の中で
夜の清い空気のひんやりとした風が吹き上げる
桜の花びらを数えながら・・・
それから獣は満足げに舌なめずりをして
固くて丸い頭を 私の脛に擦りつけ
くちくなった胸を満足げに膨らましながら
また・・・
と、囁いた
また、来年、桜の木の下で
